就職に有利な理系大学院生でも就活は失敗する

  • 2019年7月28日
  • 2019年10月21日
  • 雑記

研究で忙しい理系大学院生のみなさん、就活の準備は進んでいますか?

「就活?理系大学院生なら余裕でしょ(笑)」なんて思っている人も少なからずいるのではないでしょうか。

たしかに理系大学院生は、就職活動において莫大なアドバンテージを持っています。

ですが、あくまで有利というだけの話で絶対に内定が取れるわけではありません。油断して選考対策を怠れば簡単に落とされます。

今回は、理系大学院生は就活でどのくらい有利なのかを解説し、それでも失敗する人がどんな特徴を持っているかということを、私の実体験から紹介します。そのうえで就活失敗を避けるにはどうすればいいかを考えていきます。

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理系大学院生は大企業へ行く人が多い

理系大学院生は就活強者と言われていますが、実際のところ本当に有利なのでしょうか。

結論から言うと、大企業に行く理系大学院生は、文系理系大卒に比べて圧倒的に多く就活で有利であることを示すデータがあります。

こちらは2019年卒の大学生、大学院生の就職予定先の従業員規模をまとめた表です。

出典元: 2019年卒学生の就職活動の実態に関する調査

表を見てわかるとおり、大学院生の1/3以上が5000人以上の従業員規模の企業に就職しています。次点で多い文系国公立の大学生でも1/5程度なので、大学院生はその約1.7倍もいます。さらに、1000人~4999人規模の会社も含めると、大学院生全体の6割を超えます。

このように従業員規模5000人以上が圧倒的に多いこと、1000人以上では6割以上というデータから、理系大学院生は大企業の就活において圧倒的有利ということが分かります。

大企業への就職に有利な理由

①真の売り手市場

有効求人倍率について説明します。有効求人倍率とは、民間企業就職希望者1人当たりに対する、民間企業の採用予定者数を表した数です。

有効求人倍率が0.5の場合、企業の募集が全て埋まっても就職予定者が半分余る買い手市場を意味します。

有効求人倍率が2の場合、就職希望者が全員就職しても企業が半分余る売り手市場ということになります。

リクルートワークス研究所の調査では、2020年3月卒業予定の大卒・大学院卒の有効求人倍率は1.83倍です。

ここから業種別の有効求人倍率を詳細に見ていきます。

出典元:リクルートワークス研究所 ワークス大卒求人倍率調査
建設業製造業流通業金融業サービス・
情報業
求人総数88,200279,200333,40010,70093,200
民間企業
志望者数
14,200141,40030,20037,900215,800
支配的な
人材
文系
理系
大卒
理系
大学院卒
文系
大卒
文系
大卒
文系
大卒
有効求人倍率6.211.9711.080.280.43

志望者数は製造業とサービス・情報業の2つが圧倒的に多いです。これらの業種の中で、理系大学院生の多くが製造業に就職します。

建設業は、建設会社では理系が多く、住宅系では文系が多いですが、業界全体では文系理系同じくらいで大卒が大きな割合を占めています。

残りの流通業・金融業・サービス・情報業は、いずれも文系大学卒がほとんどです。よく文系大学の就活生で「売り手市場なのに全然内定もらえない」と嘆いている人がいますので、ここでそのからくりを解説します。

文系大卒が支配的な人材である流通業・金融業・サービス・情報業に着目すると、

$$\frac{333400+10700+93200}{30200+37900+215800}=1.54$$

最初に説明した有効求人倍率1.83に近いですよね。流通業だけで有効求人倍率が爆上がりしています。

本来、文系大卒の多くからしたら、売り手市場どころか有効求人倍率0.5程度の超買い手市場だということです。

一方、理系大学院卒の多くが就職する製造業はというと、有効求人倍率は1.97倍です。こちらは紛れもなく売り手市場なので文系大卒よりもはるかに難易度が低いことが分かります。

②推薦応募の存在

理系大学院生最大の武器、それが推薦応募です。

前述したように理系大学院生の有効求人倍率が2倍近くあるということもあり、どこの企業も理系大学院生を欲しがっています。

大企業からも推薦応募の枠が大量に用意されます。私の大学では、従業員1000人以上の規模の企業だけに絞って専攻全員で推薦を取得しても、余裕で推薦枠が余ります。

それくらい大企業が欲しがっているということです。

推薦応募の特徴は以下の通りです。

  • 選考の簡略化や面接のサポートがある
  • 倍率が自由応募より低い
  • 選考や内定の辞退が不可能

1つずつ解説します。

選考の簡略化や面接サポートがある

推薦応募での選考の場合、多くの企業では選考フローが簡略化されます。推薦応募によって変化する内容は様々ですが、書類選考の免除や面接の回数が減ることがほとんどです。

そのため自由応募よりも選考が速く進む傾向にあり、自由応募よりも就活を早く終わらせることが出来ます。

そのほか、企業によっては面接後にフィードバックとアドバイスをもらえるところもあります。技術面接や役員面接ではどんなことを質問されるかを教えてくれたり、志望職種を

企業のことを知り尽くしている中の人に直接サポートしてもらえるわけですから、とても心強いですよね。

自由応募より倍率が低い

企業の新卒募集では、推薦応募で採る数と自由応募で採る数をあらかじめ決めていることが多いです。

学校推薦をとるときに学内で枠を争う必要がありますが、人気の企業でも多くて倍率1.5~2.0であることが多いです。それに、学校推薦で競うのは同程度のレベルの学生同士なため、学外の就活生と競うより楽という人の方が多いです。

推薦応募の方が自由応募に比べて数が圧倒的に少ないので、かなり内定を取りやすいです。

中には推薦応募で8割採用して残り2割を自由応募で採用するという企業もあります。ただでさえ自由応募で倍率が高いのに、そのうえ推薦枠でほとんど埋まっていたら厳しいですよね。

選考や内定の辞退が不可能

これはメリットでもありデメリットでもあります。内定辞退することが出来なるため、内定が出た場合は必然的にその企業に就職することが確定します。法律的な拘束は特にないので正確には内定辞退も可能ですが、学校推薦は大学と企業の信頼関係によって成り立っているものであるため色々と問題が発生します。

もし内定辞退したらどうなるかというと、内定辞退した企業から、その後一切推薦の枠を用意してもらえなくなります。そうなると、その企業を志望していた後輩にも大きな迷惑がかかります。

デメリットだけではなく、メリットもあります。

それは、第1志望であるという最強クラスのアピールが確実にできることです。

企業は内定辞退による採用コスト増加や時間の浪費を防ぐために、自由応募で来た学生が本当に入社してくれるかをあの手この手で判断します。

面接で志望動機や就活の軸、他社の選考状況や志望度など色々聞くのはそれを判断するためです。ですが、自由応募の学生がどれだけ頑張ってアピールしても、面接官からすれば「この人は入社してくれるかも」程度にしかなることはありません。

推薦応募であれば、素人でも「内定を出せばこの学生は来てくれる」とわかります。わざわざ志望度の高さをアピールする必要がないのは大きな利点です。

しかし、裏を返せば、理系大学院生は自由応募だと超不利になります。

理系大学院生の多くは推薦応募を使うことが多く、それにともない滑り止めで自由応募も何社か受けることになります。それは企業側も重々承知しています。

するとどうなるかというと、自由応募というだけで第2志望以下に見られやすいです。本人的にその企業が第1志望であるかどうかなんて関係ありません。

就活に失敗する人の特徴

いくら就活で圧倒的に有利と言っても落ちる人は落ちます。以下の特徴に一つでも当てはまるものがある人は注意しましょう。

  • 就職強者であることに甘えている
  • インターンシップを軽視する
  • コミュニケーションがうまく取れていない
  • 英語が極端にできない
  • 研究をまともにやっていない

就職強者であることに甘えている

理系が就職強者であることは、みなさんよく知っているはずですね。高校生の時点で就職に有利だからという理由で進路を選択する人も多くいるくらいですから。

就職に有利だからこそ、数撃てば当たるだろうと選考に落ちても何が原因だったのか考えすらしない人もいます。失敗の原因を突き止めて改善しなければ、いつまでたっても同じ失敗を繰り返すばかりです。

インターンシップを軽視する

インターンシップは超重要です。というのも、働くということに最も近い経験をすることが出来るからです。

ほとんどの学生は、仕事がどのようなものであるか想像できていません。それもそのはずです。アルバイトならともかく、理系なら研究開発職や生産技術職などの仕事を経験したことがないわけですから。
それでも企業は、入社後のミスマッチがないように、面接で学生が仕事のイメージができているかどうかを見極めます。ここで活きてくるのがインターンシップでの体験です。

インターンシップであらかじめ志望職種の仕事を経験している人とそうでない人では、面接で質問された時に話の具体性や説得力で大きな差が出ます。

コミュニケーションがうまく取れていない

書類選考は余裕で通るのに面接でことごとく落とされるという人はコミュニケーションがうまく取れていないことが多いです。

代表的なのは、質問の意味や意図を理解せずに返答していたり、声が小さくて聞き取りづらいなどが挙げられます。

どちらも相手の立場からしたらイライラしますし、一緒に働きたいとも思わなくなります。

英語が極端にできない

近年の製造業は、日本に製品を売っているだけではマーケットの拡大が見込めず、海外売上比率を伸ばしている場合が多いです。そのため、ある程度の英語力が求められることが増えており、面接でも英語が得意かどうかというのはよく聞かれます。

英語力を客観的に示すのによく使われるのはTOEICですが、webエントリーシートではTOEICの点数記入欄があるくらいには重要されています。

大学生のTOEIC平均点数は約600点で、理系大学院生であれば平均点前後あればほぼ大丈夫です。

研究をまともにやっていない

企業が理系大学院生を欲しがる理由は、研究のプロセスを経験しているからです。

研究をまじめにやっている人は、そのプロセスでPDCAサイクルの回し方やプレゼン能力、研究室内でのコミュニケーション能力などが自然に身につきます。これらの能力を学部生のうちから身につけている人は少ないので、大学院生に期待しています。

企業からすれば、少し多く給料を払えばある程度育成済みの人材が手に入るのでおいしいわけです。特に業界トップクラスの企業ほど、面接では研究の話をしっかり聞きます。

就活を成功させるためにすべきこと

ごく単純な話ですが、失敗する人の特徴に当てはまらなければ、理系大学院生の就活は自然と成功します。

失敗する人の特徴でそれぞれ説明したように、選考で落とされるのは高い能力を持っていないからではなく、最低限の能力をもっていないことが原因です。理系大学院生の普通レベルの能力さえあればそんなに多くのことは望んでいません。しょせん新卒ですから。

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